つかみは一般的なことなので私に見るべきものはないが、(自然)生態学は(人間)環境学になりえないことから始まって、ディープエコロジーを喝破するあたりはまあ痛快である。
 ごみ問題解決では、EPRやPPPで解決できるというのはちょっと大喜利的だと思うのと、あまりに入会地というキーワードに捕らわれ過ぎている感があると思う。

 さてごみ問題、生ごみなどの受け入れを農地でと言う基準が、農地1haに投入できる窒素量が250kgである。これをもって、日本の農地に有機物が足りないと言うのは確実な誤り。これはいくらなんでも入れすぎ・堆肥などで与えるなら一回こっきりにして!と言いたくなる量である。極端に多肥される茶(栽培面積は耕地の2%以下)でも5-600kg、今は400kg台だろう。肥料を多量に要求しつつ駄々漏れにする野菜畑でも日本の平均で300kgは投入していない。耕地面積の40%を占める水田では60-70kgである。250kgの窒素を与えられて水環境に深刻な影響を与えない作物と言うと飼料用とうもろこし(デントコーン)かやはり飼料用ソルガムくらいである。
 250kgと言う基準は、ちょっと危うい記憶だが、多分「科学」の三輪えい太郎氏の論文からではないかと思うのだが、これは極限まで受け入れるなら、と言う上限であって、標準ではない。
 このあたりを真に受けられると、私はじめ物質循環屋は相当に迷惑する。

 とはいえ、コンパクトに良くまとまった本だと思う。瀬戸氏の主張もはっきりしていて好感が持てる。とっつきの一冊としては面白いだろう。

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