「美しい景観を作る会」に対する疑念とまったく当を得た批判から入り、東京を主体とする都市論の批判とありよう、そして現実を突き抜けたハイパーリアルな都市論、理想的な美しい景観の手本としての平壌、などなど、都市計画や都市のありように関する言説への大局的な視点からの批判が上手くまとめられた一冊。五十嵐太郎モノは痛快だなぁ、と思わせるに相応しいものだった。

 首都高は走るもので景観として見る感覚はなかったが、なるほど、サイバーパンクや東洋の巨大都市特有の仕掛けだと考えると妙に納得が行く。私には安全装置なしの絶叫マシーンという感覚しかないが・・・。本書でしばしば「ブレードランナー」の混濁した街が語られるが、フィフス・エレメントはじめ、車が空中を整然と立体的に走っているのは、まさに首都高のイメージである。

 天使の笑いのディストピアはじめ、都市計画や議論には五十嵐氏のような大局的視点や事後アセスメントが欠かせないと思うのだが、このあたりもハコモノが誰の頭からも消えないのだろうなぁ、と思ったりする。

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