アクロバット的な帰結をもつ改憲論や集団的自衛権さえあれば的な無意味な期待論をばっさり切り捨て、所詮対米追随から離れずには居れないなかで国益を守る上でどう行動すべきかを、いささか9条サヨクに同情的に(ここが弱い)論じた、充実の一冊。
 この弱い点で私は著者と意見を違える所はあるのだけど、仮にネガティブリストの行動規範で集団的自衛権を行使することを選択したとしても(ここは本書では論じていない、私の考え)、対米対等になど決してなれないことを英・NATOを例に挙げるし、ドクトリンの哲学はNATOに近いので、組むのは悪くないと言うのも意見を同じくするところだ(だからEF-2000を!は置いといて)。結局米に使われるだけだよ、と、その結果何が得られるかって何もないでしょ、と。まったくその通り。米追随をしてもどうせ頭越し外交しちゃうよって、本当にねぇ。
 ただ、集団的自衛権はネガティブリストの行動規範とセットで持つことは、現在の日本の面する状況として、持つべきだ。ただし、9条を盾に国益優先でエゴイスティックに国家運営をすることと、その手段として自衛隊の派遣を使うことだ。即ち、米の無理な申し出は9条を盾に引きこもり、自国の通商・国際援助とその防衛・支援のためには積極的に自衛隊を出す。
 そこには核武装以前に米が嫌う、「(対地)攻撃力」という牙の配備が必要になる。もちろん、国家として必要なことで踏み台にも考えていない同盟国の言い分など知ったところではない。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索