アリストテレスと古代ギリシャ哲学を元に人間、社会、国家を論じる事により物事の根源に迫る現代哲学の書。アリストテレスをテクストとするのは、それが人間の根源に根ざした哲学だからであるとするのは、混迷の中でプリミティブなものへと回帰することの有用性を示すものだろう。
 徳、身体、装飾(と私は解するが)の三層構造のうち、装飾を取り去っても、あるいは身体に問題があっても、徳が保たれるならばその人格は成立しうると言うのは、現在におけるこれらの倒立した関係に力強いそもそも論で立ち向かうことになる。この件をはじめ、現代の狂った状態に対する非常に堅固で本質的に保守的な考えは、なんとも頼もしい。が、人が人として常に善徳だけで生きていけるとは言い切れない理想論異常のものではないとも思う。
 殊に国際関係上は、実際理性の通じない世界も残念だが存在する。
 また、システムとしての不完全性を欺きつつ、IAEAとNPTの下で既得権益としてのプルトニウム燃料を日本は捨てられないのも恥ずかしい話ではないか?まあこのへんも掛け違いの狂気ゆえんであろう(順序を追えば原発は必要悪なのだけど、今は不完全ゆえの悪である)。道具から考えるのではなく考えが合っての道具であれば、剣つき合わせての外交からはじめるのも悪くは無い、いずれ振り上げた手を下ろすために。
 今のままでは舐められるだけ、たたかれるだけだもん。

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