なかなか示唆に富む骨のある本だった。が、悪くいうといろいろな政治家の「いいとこだけ取り」な感じ・批判もないわけではない。世間に論じられる政治家像と戻るパワー指向の言動の間にはずいぶんと落差があるからだ。
 とはいえ、意外とまともに、地道に摘み取って行けば、意外と日本も捨てたもんじゃないかもしれないと思えてくる。それは浮かれたような伝統的日本指向ではなく、中級国家としての日本のあり方を模索する保守性を持つ革新派とでもいうべきもののパラダイムシフトによって起きるとする発想はなかなか興味深い。
 しかし、希望中流下層社会から、要求居直り下層群集という動物化の時代にあっては、なんとも虚しい響に思える。自分の基盤・ニッチ(生態学的位置)と言うものを見直し、然るべき(あるべき、ではない)民度と社会と言うものが模索ができないなかではなんとも虚しく響かないでもない。
 敗戦国として大国を指向することは不可能であること、多極化の中にあってはミドルパワー連携が有効であること、国際社会での正の評価のスパイラルに乗ること、などそのために必要な事項は多く、司法行政・マスコミの対応など結構履き違えの多さにも問題を感じる。
 ただ、こういう地道な認識論と言うのは重要であり、考える所の多さと情報のさばき方には感じ入るばかりである。

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