ISBN:4344980611 新書 電通消費者研究センター 幻冬舎 2007/11 ¥756

「カーニバル化する社会」の著者が、この世界観におけるマーケティングに関して書いた本。しかし、ここから透けて見えるのは、何となくつながりを持ちたいと言う願望の反証としての個人の孤立化、かけ流し的消費の連鎖、コンテンツのメタ的増殖とメタ的消費である。
 ビジネスモデルとして、企業によるネタの提供、好適な仲間関係の一パーソナリティ化、ネタをボリュームゾーンの消費者によるメタ的増殖と奔放な流れに任せる事等の提示は興味深いが、これらは結局あやふやな空気(まさに「空気読め」の空気)で、非常に危険なカーニバル的存在ではないか。
 このような動きが、経済活動だけで終ればまだ問題はない。が、世論(ボリュームゾーンの消費者は何事も情報のセンシティブな受信者であり影響力の大きな発信役でもある)や政治、計画性を必要とする先を見通した上ですべき発想と行動に影響するようなら日本の世の中は終る。それを上手く具現化したのは自己愛小泉である。
 このカーニバル的動きが暫くの社会現象で終ればいいが(著者はカーニバル化に対して楽観的である)、どうもそのようにエージェントの集合体(ネタ共有集団)は、動いていないと私は見る。むしろどんどん動物化して行くだけではないか。
 これは「劣化」をどう食い止めるか、と言うのに近い問題であると私は思う。

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