何気に目覚めてパソに向かっている。
 新聞チラシに宮崎の超早場米が載った。何とコシヒカリ、宮崎といったらヒノヒカリの生まれた土地であるが中性であることを確認し、うーん、と唸る。
 米の食味を良くする気候は、実が充実するときに昼日射が強くて気温が高いことで光合成が盛んである一方、夜は逆に冷え込むことで呼吸による澱粉の消費が少ないこと、がある。北陸と東北の日本海側に米の「名産地」があるのはそんな理由による。
 超早場米は昼もよるも暑い時期に作るから、どうしても澱粉の充実が少なくなる道理、言っては悪いが食えたもんじゃないだろう(ウチでは高いから買えないので食べていないが、職場で食べた物好きな人はやはり不味いといっていた)。
 それでも千葉・宮崎で超早場米を作るのは、単に価格がいいから。下げどまりの無い米価にあって、新潟米と超早場米だけは価格を保っている。前者は単に産地名信仰、後者は日本人の初物信仰によっている。
 フェアに言うなら、新潟の米は、(現地の郷土資料館でも伝えていないが)もともとトリマタギ米と言われた。腹まで泥に浸かって田植して、出来た米は鳥も食わない。それがまともに食えるようになったのは、構造改善事業つまりは土木事業とコシヒカリの登場である。とどめをさしたのは新潟県魚沼郡のとある村のある圃場で採れた米が日本一うまい、とされたのを拡大解釈して魚沼郡の米は美味いと農協が言い出し、それに乗って新潟の米は美味いと言うことになった。米の味というのは気候が同じなら、基本的には水のきれいさと土壌条件によって決まる。同じ地方でも土壌も水も千差万別だから、「この地方はなべて日本一」等ということはありえない。

 亜熱帯の作物が冷温帯や亜寒帯でおいしく採れると言うのはなんとも理解しがたいのだが、まあそんなこんなで全国の天気予報では東日本を中心に気温を見てしまう。
 長かった梅雨の心配はあるが、このまま猛暑が続けば東北の米はかなり美味いだろう。このままなら今年の狙い目は岩手・宮城県産ササニシキ、と信じている。宮城県では条件有利地で比較的良く栽培されているというプレミアがあり、岩手県産の気候条件が揃うと米は安いのにかなり美味いからだ。どちらもそうそう市場にでないので、買いに行くのも一興だと思っている。特に、岩手では雑穀が豊かで、そのフレーバーも楽しみたい。

 歪んだ市場経済を抜けて、私は自分ブランドを選ぶ。
 ポルトガルから帰ったら、暫くおいて八幡平に紅葉を見に行こうか。

コメント

kaj
kaj
2007年8月12日8:35

立つ影は、ミラ〜マ〜ン...と、つい続けてしまいたくなるのは歳の所為ですかねぇ(^_^;)

閑話休題、初物が現代人の口に合わないからといって、亜熱帯の原種が、日本に伝来する以前の現地の人間にとって不味かったとは限らないかもしれないなぁと、思ってしまうんですヨ。

ヒトが食べる事の出来るヒトの手を加える事によって収穫する事の出来た食べ物ってのは、気候も含めて天の恵みであるとつながって行くのは、何となく理解できるので、ならば、其れを神にまず捧げようというのも在りかなって♪

で、そういう代物であるならば、それは、やっぱり「旨かった」んだろうなぁと思ってしまうんです。

淵瀬春秋
淵瀬春秋
2007年8月12日18:51

 タイ料理にはインディカ米でないと美味くないですし、それにはそれに適した食べ方と言うものがあると思うのです。が、どうも日本では南方の米は収量が劣り、食味的にも良い話は超早場米を除いても聞かないのです。
 日本人が食文化的にどのように米を選択したか、特に稲作の伝搬から普及の過程においてどのような選抜があったのかは後回しになっている部分です。ただ、気候資源と土壌学的には、麦を作るよりははるかに合理的(収量が安定し多収、酸性土壌が悪影響をあたえない、等)というのはあります。
 とはいえ、自然の恵みであり、さまざまな民族が稲作に固執する事に係わって神事が行われることには、納得の行く所です。

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索