ISBN:4061498843 新書 西部 邁 講談社 2007/03/16 ¥798

 少しはまじめに取り組んでいるかと思いきや、ズブの素人の浅はかな考えでしかない。曰く、核拡散による力の均衡が国家の独立を助ける。つまりは「ホンモノ」っぽく見える何かになりたいな、な願望であって、それは一人暮しに憧れるひたすらメランコリックな夢想家のガキ(パラサイトシングル位に年齢だけはいってるかも)に似ている。そのことを必死に否定しようということに、論理の破綻が良く見える。少なくとも、「逆もまた真なり」という退路を否定できるように論理が出来ていれば、まだ読める話だったが。

 ちなみにこの人、やたらカタカナ語とそこに括弧つき日本語解説を入れるのが好き。ちゃんと日本語を書けるようになってから本を書いてほしい。

 評価できるのは、こういう馬鹿げた話がある程度の雰囲気を持って存在していることを世間に示したことと、こういうつまらない独りよがりの話を聞かされる政界人・幹部自衛官候補生がいることが表に出たこと。
 恐ろしいというより、バカらしいだけ・・・いや、やっぱり白痴化は(本人は幸せかもしれないが)恐ろしいか。

コメント

nophoto
Sa−Q
2007年6月2日21:59

こんばんは。Sa−Qです。

実は西部邁氏、つい最近、マル檄にゲスト出演なさってたんですよね(笑)。(第307回 2007年02月16日 収録)

前後編合わせて一時間半、話しを聞いて感じるのは「この人、良く言えばスタイリスト、悪く言えばナルシストなんだな」とゆーことでした(笑)。

他に原発「事故隠し」が明らかになった頃に、原発政策についてマル檄で取り上げていた際、ゲストの伴英幸氏(NPO法人原子力資料情報室共同代表)が、日本政府、各省(主に経産省かしら)が核サイクル確立に拘る理由として上げられたのが、「核兵器を持たない国々の中で、日本はほぼ唯一、プルトニウムの保有が認められている。これはアメリカから与えられた既得権なので、護持しなければならない」というお話。ワタシにとってこれまで考えても見なかった衝撃的な視点でした。

宮台真司氏は、元々「対米追従&軽武装か、対米中立&重武装か、整理すればこの二点に行き着く。後者なら当然、核保有となるが、近隣諸国に『日本は核を持っても大丈夫』と思って貰えるような外交政策を取っていない。ならば核保有などバカげている」という立場のようです。

淵瀬春秋
淵瀬春秋
2007年6月2日23:04

 前のコメントに答えを返していなくて申し訳ないですが・・・(思うところは多いのだけど、まとまらない)
 核サイクルというのも、結局廃棄物を量産する技術、そのあたりのライフサイクル評価が無いのが、いかにもウソっぽい。
 いわゆる軍事評論家や経済論者からは、まともに重武装したら国庫がとんでもないことになる(GDP 3-5

nophoto
Sa−Q
2007年6月3日12:30

こんにちは。Sa−Qです。

レスの件は特に気にしませんのでお気遣い無く(笑)。

仰る通りですよね>まともに重武装

原発「事故隠し」の回で印象に残ってるのは、宮台氏が「……お話を伺ってると、政府の“原発政策”で、計画通りに進んだ事は、一度もなかったように聞こえますね」と苦笑混じりに言った事に対して、ゲストの伴氏は応えて曰く「その通りです」(爆)。

「もんじゅ」にしても、当初は’90年代初頭には稼働していたはずなんですが、どんだけ「計画」から遅れてるんだか。

skullsberry
猿滑骸骨
2007年6月3日17:57

ボロクソですね(笑。私も西部は好きではないですが。
でも、ここまでボロクソだとちょっと同情して読んでみたくなります。図書館に行ったついでに読んでみましょうか。

ところで

>「逆もまた真なり」という退路を否定・・

というのは「核拡散による力の均衡が国家の独立を助ける」という命題の「逆」の否定ですか?

淵瀬春秋
淵瀬春秋
2007年6月4日7:36

Sa-Q君>
 実際、核サイクルは四半世紀前から言ってて出来ないんだから(即ち全て外注)、遅れどころか、ですね。また、フランスのように規格化をしていないのだから、クライシスマネジメントも出来ていないと思われます。IAEAの職員が張り付くのは別の意味じゃないかと思えて来ます。

猿滑骸骨さん>
 いや、彼の論法です。
 同情するなら気持ちだけで十分でしょう。

 前回の私のコメント、後半が切れてしまいました。
 まともな重武装にはGDPの3-5

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