パラサイト社会のゆくえ
2007年3月25日 読書 コメント (4)
ISBN:4480061959 新書 山田 昌弘 筑摩書房 2004/10/06 ¥714
「パラサイトシングル」を提唱した著者の、その後の経過に関する観察と将来への危険の警鐘を記した本。
まず、書きっぱなし、言いっぱなしでは無いこと、検証と現状認識が非常に良く出来ていることは評価に値する。しかしこれも、2.5年以上前の現状であり、2007年問題の逆を打っての大卒限定の売り手市場とロストジェネレーションのパラサイト世代の閉塞感といった面では、もはや過去の問題と言う感じがしないでもないことが多かった。
ただし、世界が自他共にどんどん無責任になっている、と言うのは変わらない。それがベースでいまがあるんだと思う。
所詮社会学は将来を見ない・・・と言うことなのか?
しかしこの観察力、洞察力は使える。新作を期待したい。
「パラサイトシングル」を提唱した著者の、その後の経過に関する観察と将来への危険の警鐘を記した本。
まず、書きっぱなし、言いっぱなしでは無いこと、検証と現状認識が非常に良く出来ていることは評価に値する。しかしこれも、2.5年以上前の現状であり、2007年問題の逆を打っての大卒限定の売り手市場とロストジェネレーションのパラサイト世代の閉塞感といった面では、もはや過去の問題と言う感じがしないでもないことが多かった。
ただし、世界が自他共にどんどん無責任になっている、と言うのは変わらない。それがベースでいまがあるんだと思う。
所詮社会学は将来を見ない・・・と言うことなのか?
しかしこの観察力、洞察力は使える。新作を期待したい。
コメント
「書きっぱなし、言いっぱなし」でないのはフィールドワーカーから入る社会学者としては、基本なのでしょうけれども、中々大変なようですね。
「パラサイト世代の閉塞感」に年齢的に、本業的に入るであろうワタシから見ますと、「閉塞感」は過去と化して無くなったのではなく、「溶けて希釈された」感じでしょうか。
山田昌弘氏は宮台真司氏の先輩だとかで、一度マル檄にゲストで出られた回がありまして、その時のお話では、「前・近代」では「安全地帯」を取り囲んでいた(城塞都市型)。「近代」では、逆に「危険地帯」を取り囲んで、「危険承知で行くヤツはほっとくが、看板は立てる」型。
で、「後・近代」な現在は、危険は最小化されたものの、「見通せなくなった」という解説でした。
おそらく、タイムスパンがだいぶ大きなレイヤーで書かれてるのではないかしら>所詮社会学は将来を見ない・・・
危険/安全地帯論は本書の裏にあるフレームワークと言う感じですね。しかし雇用と経済を見ても、危険は最小化されたかもしれないが、その範囲は自覚しないだけで拡大していると私は思います。タイムスパンを具体的に何年くらいに持ってくるかによりますが、パラサイト問題を見る限り、6-8年くらい?
20−30年スパンで考えるには、この15年はちょっと動きがドラスティックすぎる感じがします。
ただ、「パラサイトシングル」という言葉が、(山田氏が主張する)中身を離れて「揶揄半分、差別感半分」でパッと広がり、消費されたことを考えれば、多くの人にとってはまだまだ事態が理解されていない、とも感じます。
そういう意味では版型が新書であることも含めて、今必要な本、なのかもしれませんね。