ISBN:4480061959 新書 山田 昌弘 筑摩書房 2004/10/06 ¥714

「パラサイトシングル」を提唱した著者の、その後の経過に関する観察と将来への危険の警鐘を記した本。
 まず、書きっぱなし、言いっぱなしでは無いこと、検証と現状認識が非常に良く出来ていることは評価に値する。しかしこれも、2.5年以上前の現状であり、2007年問題の逆を打っての大卒限定の売り手市場とロストジェネレーションのパラサイト世代の閉塞感といった面では、もはや過去の問題と言う感じがしないでもないことが多かった。
 ただし、世界が自他共にどんどん無責任になっている、と言うのは変わらない。それがベースでいまがあるんだと思う。
 所詮社会学は将来を見ない・・・と言うことなのか?
 しかしこの観察力、洞察力は使える。新作を期待したい。

コメント

nophoto
Sa−Q
2007年3月26日23:04

こんばんは。

「書きっぱなし、言いっぱなし」でないのはフィールドワーカーから入る社会学者としては、基本なのでしょうけれども、中々大変なようですね。

「パラサイト世代の閉塞感」に年齢的に、本業的に入るであろうワタシから見ますと、「閉塞感」は過去と化して無くなったのではなく、「溶けて希釈された」感じでしょうか。

山田昌弘氏は宮台真司氏の先輩だとかで、一度マル檄にゲストで出られた回がありまして、その時のお話では、「前・近代」では「安全地帯」を取り囲んでいた(城塞都市型)。「近代」では、逆に「危険地帯」を取り囲んで、「危険承知で行くヤツはほっとくが、看板は立てる」型。

で、「後・近代」な現在は、危険は最小化されたものの、「見通せなくなった」という解説でした。

おそらく、タイムスパンがだいぶ大きなレイヤーで書かれてるのではないかしら>所詮社会学は将来を見ない・・・

淵瀬春秋
淵瀬春秋
2007年3月27日13:06

 日本語が上手くなかったです・・・てか間違ってました。上手く伝わるかどうか、ですが、「大卒というだけでちやほやされる連中」と「ロストジェネレーションand/orパラサイト世代」に社会が接する格差が出ている中で、パラサイト問題とそれに伴う近未来だけを見た本書は現在を十分に表現しておらず、昔書かれた本ね、と言う感じを得たのでした(私はバブルとロストの両方を経験しています)。
 危険/安全地帯論は本書の裏にあるフレームワークと言う感じですね。しかし雇用と経済を見ても、危険は最小化されたかもしれないが、その範囲は自覚しないだけで拡大していると私は思います。タイムスパンを具体的に何年くらいに持ってくるかによりますが、パラサイト問題を見る限り、6-8年くらい?
 20−30年スパンで考えるには、この15年はちょっと動きがドラスティックすぎる感じがします。

nophoto
Sa−Q
2007年3月28日21:15

「昔書かれた本ね」という感覚は、なんとなく分かる気がします。

ただ、「パラサイトシングル」という言葉が、(山田氏が主張する)中身を離れて「揶揄半分、差別感半分」でパッと広がり、消費されたことを考えれば、多くの人にとってはまだまだ事態が理解されていない、とも感じます。

そういう意味では版型が新書であることも含めて、今必要な本、なのかもしれませんね。

淵瀬春秋
淵瀬春秋
2007年3月29日7:41

今必要な、新しい本、希望します。

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