ISBN:4876996474 単行本 天笠 啓祐 かもがわ出版 ¥600

 ツッコミどころ満載で、気にあると所を折っていったらとてもレビューできる状態では無くなった。
 最大の批判点は、p14L10-11
2001年3月にハワード・ヒュージ医学研究所などのグループが、プリオンが同じアミノ酸配列(ということは遺伝子の配列も同じ)のまま多様な立体構造をとることを証明した

 これをもって遺伝性と感染性の根拠としているようだが、プリオンは種に寄って一次構造が異なるし、多様な立体構造をとるなら、正常ー異常の二つにわける意味がないし、変化の条件が不明だ。(独)動物衛生研究所は脳内環境で蛋白質の2次構造が変わりうるか、という実験をしているが、その成果は、(穿った見方をするとプリオン蛋白ではうまくいかなかったらしく)てきとうな蛋白をもってきて変化を見たり、既に変化した蛋白を入れると加速することなどを確認しているが、これは2004年の成果。日本の研究がそんなに拙速な訳は無いだろう(大学の先生が良く引合に出されるが、あそこは前身の農林水産省家畜衛生試験場時代からプリオン病の研究をしている)。しかも、正常プリオンの異常プリオンへの変化メカニズムの解明と言う題目で連合大学院生を募集する程「わかっていない」ことなのだ。
 p24の表1も意味不明である。2002年2月に出版された本なら、その引用は遅くても2001年第3四半期くらいには既刊の書籍の筈だが、2001年第一・二四半期までを追いかけた「なぜ牛は狂ったか」でこれほど明確な経口感染が引用されないのは謎。パスツール研究所が情報に通じていない筈が無い。
 ともかく、この本を鵜呑みにするのは問題がありすぎる。
 問題は食肉汚染では無く、科学性であると私は判断する。

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