靖国神社

2006年6月15日 読書
大江志乃夫・岩波新書・1984.3.21

 靖国問題を扱った本として今手に入る中では比較的古いもの・・・原典的なものがあると考えて、最近の対照的な2冊(ちくま新書と文春新書)を批判的に捉えるために読んでみた。戦後の論点と、明治期の天皇制と靖国神社設立のあり方、またその当時の論点などに遡るなど、中々読みごたえがあった。
 単純には、「靖国で会おう」というのは、戦後にさり気なく誇張されることでねじ込まれた発想で、有象無象に大量に戦地で死んでいった下級兵士に至っては靖国神社がなんたるかは勿論、存在すら判っていなかったとのこと。A級戦犯の合祀は戦後暫く落ちついてから表立てることなく行われたこと、また設立意思から考えれば亡国に追い込もうとしたのであり国のために戦った軍人を祭る神社にはそぐわないことなど、かなり理路整然と書かれている。話の掘り下げ方も理路整然としていて、今さらどうこう言う前に答えは出ていたんじゃないかと思えた。
 戦争学を教えない国で(講談社現代新書とかでかじったけど)、軍事博物館だけがある・・・ってのも可成ヤバい国だとしみじみ思った。

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