ISBN:4003420950 文庫 尾高 邦雄 岩波書店 1980/01 ¥420

 学問的探求とその社会的位置としての職業に対する心構えと置かれている今日的(て100年近く前だが)状況に関して論考し発表したもの。
 知の技法や倫理に関して言及されている面では耳の痛い話はあるのだが、研究者としての知の楽しみ、悦びというものに関して余りに冷淡ではないかと言う印象を受けた。まあそれが時代の雰囲気なのかもしれないのだが。一方で研究者に要求される、知の集積、探求、開示という基本は変わらない。私は研究所勤めということで学生相手に話すことがないこと(つまりは開示が極端に少ない)を気楽に思っているし、研究者には大学向けと研究所向けがあるのも事実。そういう時、食うや食わざるやの危機の中にある切迫した職業としての学問は、充分に機能しないのかもしれない、とも思った。

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