ISBN:4334033431 新書 好井 裕明 光文社 2006/02/16 ¥777

 観測の対象をどう上手く捉えるかといった教科書ではない。
 社会学と言いつつ、取り上げるテキストは先ず読み解くテキストとしての個人の体験である。そして取り上げるテキストとしての情報の取り方の問題へと個人から外に出て、終わりには自己と社会(外部、対象)との相対化、視点の相対化へと話を落としてゆく。実例の生々しさが得も言われぬ臨場感を盛り上げ、著者の狙いである個人と社会の間というマージナルな部分、常識を疑いくつがえすというダイナミックな転換に揉まれる。まさに現象はカオスの縁に沿って動くという昔の数学・・・ではなく、ポストコロニアル思想を読み解き体現してゆくテキストとして、非常に使えるものではないかと思った。

 自分、と言うものは、内なるモノと外なるモノとのせめぎあいの中で生じる皮か浮き上がって来る存在であって、誰かに見つけてもらうもんじゃないんだよね、と、若い人には書いておこう。

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