「戦争学」概論

2006年1月25日 読書
ISBN:406149807X 新書 黒野 耐 講談社 2005/09 ¥798

「戦争はいけない」といって思考停止したり、戦争と名がつく時点でそれ以上は切り捨てる、そういう向きを危険視し、あえて地政学や戦争の構造の解析を行なうことの勇気は賞賛に値するし、歴史を振り返り9.11以前までの記載は納得の行くものであるといえた。しかし、9.11以降の非対称な戦争(アフガンでの戦争)の是認やブッシュJr.のイラク戦を擁護する向きには納得出来ない。
 極東情勢の解析はよく出来ていると思うが、TMD等に関しては現行の流れを追認する様にしかみえない。本質的な政治的なドクトリンとしてどんな選択肢があるのか、は、常に政治が軍事の目的を決めると言う面から、地政学・軍事学であるかぎり述べられない(寄って現状を追認する?)のかもしれないが、触れられていないのが何とも残念。いや、国民一人一人が考えて政治を通じて軍事を動かすということなのか。
 平和憲法の下でこそ学ばねばならず、知って議論しなくてはならないことが書かれているという意味で、また議論の始点として中々読み応えのある本だった。

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