ISBN:4582852866 新書 下楠 昌哉 平凡社 2005/08 ¥798

 タイトルからすると既成のアイルランド妖精談の集合とコスモロジーから見た文学史なのだろうかと錯覚したのだが、見事に良い形で裏切る一冊だった。即ち、アイルランド−ケルトという連鎖が、差別意識から文学復興の旗印への大転換を迎えた19世紀、そこに活躍した作家たちはいったいどんな背景で物語を収集し編纂し発表したのかを書いた本であり、マイナーな視点から描かれた特異な本であった。忠実なインタビューの結果のような妖精物語も結構な人間くささとそのバックグラウンドを持って描かれているというのは、中々目からうろこであった。そこにファンタジーの入る隙間は無いのかというと、実はよりヒューマニスティックなファンタジーがあるようで、アイルランドがまた好きになったよ。ギネス飲みてぇ!!

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