もう牛を食べても安心か
2005年3月20日 読書
ISBN:4166604163 新書 福岡 伸一 文芸春秋 2004/12 ¥756
体組織の物質代謝のダイナミックさ、動的平衡に関しては大いに頷けるのだが、それが伝染性の異常プリオンが引き起こす病気へと上手く繋がるのかというと全くそういう感じはせず、一貫性のない論理展開は合理性を大いに削いでいる。
また、科学的なようで疑問符がつく部分も多い。本のはじめのほうでは、たん白はアミノ酸に分解して初めて吸収されるといいつつ、後半感染は「ぜい弱性の窓」(乳児期に親から高分子の抗体を吸収するための関門)が開いているうちという。じゃあ「ぜい弱性の窓」が閉じた後の感染とはこれいかに?となる(クールー病に言及しつつそのメカニズムには触れない)。また、異常プリオンが正常プリオンを変化させる工程に関して疑問を呈していながら回答を書いていない。個発型CJDも幼少期の感染ではないかとする自説に充分な説明がない、など。また、伝染は基本的に脳への直接注入に頼っているが、これでは消化器を通したものとで異なって来る。不十分な記載だが、異常プリオン入り飼料を牛の幼少期に食べさせてその移行過程をちゃんと記しているのは新知見ではある。一旦回腸に集中するも、のち体中に広がるらしく観測出来なくなり、のち危険部位に集中するという。が、脳血管関門を以上プリオンが通過出来るかどうかに言及しないのは納得が行かない。また、成体ではアミノ酸で吸収し体中で再構成されるというが、じゃあ異常プリオンは分解されても再合成時に異常型のままなのか?というのも何ともおかしな話だ。
全頭検査問題だが、この本は推進派。病気なんだから表に現れなくても市場から排除して当然で、特定危険部位を除けばいいという論も確実性の面から棄却している。これも理論というよりは感情論のように感じる。
理論より感情、それを異常プリオン問題を中心に展開したのが本書、ということになるのかな
体組織の物質代謝のダイナミックさ、動的平衡に関しては大いに頷けるのだが、それが伝染性の異常プリオンが引き起こす病気へと上手く繋がるのかというと全くそういう感じはせず、一貫性のない論理展開は合理性を大いに削いでいる。
また、科学的なようで疑問符がつく部分も多い。本のはじめのほうでは、たん白はアミノ酸に分解して初めて吸収されるといいつつ、後半感染は「ぜい弱性の窓」(乳児期に親から高分子の抗体を吸収するための関門)が開いているうちという。じゃあ「ぜい弱性の窓」が閉じた後の感染とはこれいかに?となる(クールー病に言及しつつそのメカニズムには触れない)。また、異常プリオンが正常プリオンを変化させる工程に関して疑問を呈していながら回答を書いていない。個発型CJDも幼少期の感染ではないかとする自説に充分な説明がない、など。また、伝染は基本的に脳への直接注入に頼っているが、これでは消化器を通したものとで異なって来る。不十分な記載だが、異常プリオン入り飼料を牛の幼少期に食べさせてその移行過程をちゃんと記しているのは新知見ではある。一旦回腸に集中するも、のち体中に広がるらしく観測出来なくなり、のち危険部位に集中するという。が、脳血管関門を以上プリオンが通過出来るかどうかに言及しないのは納得が行かない。また、成体ではアミノ酸で吸収し体中で再構成されるというが、じゃあ異常プリオンは分解されても再合成時に異常型のままなのか?というのも何ともおかしな話だ。
全頭検査問題だが、この本は推進派。病気なんだから表に現れなくても市場から排除して当然で、特定危険部位を除けばいいという論も確実性の面から棄却している。これも理論というよりは感情論のように感じる。
理論より感情、それを異常プリオン問題を中心に展開したのが本書、ということになるのかな
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