13日水曜日　晴れ　お気楽学会

　案外朝早く起きられて、朝食もちゃんと食べ、午前中は全体セッションを聞く。意外と笑いを取る発表もあるが、ボーっとしていたり、理解できなかったりで笑えなかった・・・つーか、笑ってるのは少数派の欧米の人かな。最大派閥の中国は沈黙。これは午後の個別セッションでも同じ。ここでは過半数欧米人だったけど。窒素利用に関する各国のイニシアチブ、対応策などの情報が手に入ってそれは有意義なのだが、英語について行けない。英語について行くとパワポを理解できない。まあ日本語だったとしてもそこまで集中は出来ないけど、英語では翻訳しながら理解するというプリエンプティブマルチタスクをしないといけないので、これは厳しい。面白そうだけど、もう精神が持たない！と思って歩いて15分ちょっとのホテルに帰り、頭の隅にあった南京からの上海への列車や(切符が手に入った)、上海から空港までのバスのことなどをホテルのビジネスセンターで聞いたりする。うーん、上海駅から上海浦東駅までの道のりが鬼門だ。こういうつまらないことが気になるんだよね。私は列車の切符を取ったけど、学会はバスで南京から上海浦東空港まで送ってくれるとか！そういうサービスするなら前もって連絡してくれよ！ちなみに南京上海間はバスで5-6時間だそうです。上海駅まで3時間＋1時間ちょっとのリムジンバスの方が楽だけどね。団体でいると安心できるって、悪い日本人の習性であるが。知恵も付いたがストレスも多い。こういうのが自分の容量を超えると何らかの破綻が来る。竹脇無我氏も忙しさが鬱病を酷くしたのも、氏の父が自殺したのもそのせいじゃないかと書かれている。私という器に今の仕事量(研究量は仕事の数倍ある)は絶対あっていない。しかし機動能力があると認められちゃって、それなりにonly oneでは致し方ない。香山リカ女史が、「自己啓発セミナーなんかで自分を磨くのはいいけどすべてが自分に帰依するってのは辛いことだからやめましょうよ」と書いていたのは、当を得ていると思う。そういう面で「世界に一つだけの花」は、妙。独りよがりか、現代風の集団への帰属意識にちょっとしたmodificationで個性を、なんて没個人的世界か。もとい、今年留学を決めなくて良かった・・・としみじみと雑務済ませて気分を軽くして、部屋でお休みしこれを書きながら思う。こうやって頭の整理と思ったことを吐き出すことで、何とか脳内の平穏を取り戻す。あとちょっと休んで学会会場のホテルで夕食前にポスターセッションがあるから、それもちょっとひやかそうか。

　休んだ効果は明らか。ポスターセッションは非常に身に入ったし、中国国内での窒素フローと言ったプログラムにはないが新しい発表もあった。これにはのめり込みすぎた。紹介してくれた韓国の李さんに感謝のメールを送らなくては。発表者は中国の学生さん。メールアドレスをもらったので、こちらにも感謝のメールを送らなくては。そして某大学の先生に発表で使ったファイルが欲しいと言われ、偶然持っていたUSBメモリを貸したり(先生はMacユーザー!)、もう色々なことがいっぺんに起こった。充実した時間がもてた。そしてY大学のI先生からは金曜日にあるround table discussionに来て、日本の農業での窒素利用について簡単に紹介して欲しいという要望が！うは、サボれないじゃん(^^;;;
　学会のあるホテルで夕食を摂って(9食ついて1000元なら納得しよう)、ちょっと早めにホテルに帰る・・・とフランス人のおばさんと一緒にタクシーに乗った。会話をしつつ、もしフランスを訪れるならどこがいいか、特に美術品やゴシック建築なら(私は歴史建築大好き)、と訊くと、パリと北部がいいと勧められる。他にもたくさん勧めてくれた。女史は日本の色々な街を観光したそうで、中国も3回目という。凄いなぁ。
　早めに帰れたから洗濯を頼もうとしてすったもんだ。まあ、頼めたはず。コピーをお願いしたり色々してふと気づくと10時を越えている。ゆっくり寝ないと、旅の疲れも胸突き三寸。明日は午前中会議、午後から学会公認の観光。
　いやはや、精神的にも肉体的にも疲れている。会議に出ていると論文書きたい衝動に駆られたり、毒されてるなぁ。そういや午後の口頭発表が始まる前、おしゃべりしていて、欧州の人が「日本人は働いてばかりで人生をエンジョイしない」と言っていたので、横から「若い人はそうじゃない」とは言ったけど、その実若い人も実はエンジョイの仕方を知らないんじゃないかと思ったりする。30代中盤の研究者としては、将来のモチベーションを高めるときである。サバティカル(勤続何年かでもらえる長期休暇、海外の研究者にはそのような制度がある。企業でもリフレッシュ休暇とかありますね)は欲しいが、それは己を確立したときに、将来への大きなジャンプのために用意されているものだ。・・・学位取ったし、欲しいよ、そんな時間。鬱病と不眠を緩和して、大きな地平線を見てみたい。今も見え始めているのだけど・・・確固としたものにしたい。今みたいな頼まれ仕事をこなすことが主体なんてあまりに味気ない。
　さあ、眠らねば。