7月31日の日記

　朝はICP-QMSによる下水汚泥肥料中のカドミウムの測定。機械がある部屋なのに、冷房がろくに効いていない。暑い中、じっとりと機械に向かう。ミスもしたが、なんとか終了。この機械、パソコン制御でソフトがタコだが上手くすると測定結果をデジタルデータでFDに保存してくれる。パソコンが新しくなって、掻き込みエラーや諸々の問題なく進んで快調な部類。午後は調子がいいからゼーマン偏光付き原子吸光計で化学肥料中の亜鉛と銅の分析。こちらもさくさく進む。アセチレンと圧搾空気で作る炎の前は、空調された部屋でも熱く感じる。冬場なら寒いくらいなのに。出力はデジタル値のプリントアウトだから、楽ちん。測定後はパソコンへの打ち込みと整理。カドミウム、亜鉛、銅の濃度自体への変換は、ちょっと骨なので今週はここまで。上手くまとまれば短報1はとれそうなので、ちょっと嬉しいデータを快適な疲れを感じる。
　ちなみにICP-QMSという機械では、競泳用プールに入った耳かき1杯の混入物を検出できる。原子吸光計は風呂桶に入った耳かき1杯の混入物を検出できる。・・・けど私の腕ではその2桁上迄しか使いこなせないのが問題。

　夏は昼が長いので、分析が終わってから散歩に出る。
　ウチの研究室はいくつか圃場を管理している。うちいくつかを、化学肥料のみ/鶏糞のみで大豆と枝豆を作っている。化学肥料の畑は草取りを圃場管理部門の人にしてもらっているが、鶏糞の方は雑草は伸び放題にしている。趣旨は、有機物だけで手抜き栽培でどれくらい収量が得られるかを試して見たい、というもので、あまり科学的な目的はない(なんせろくに作物を作っていなかった圃場だから、その活用)。
　雑草が伸びる、ということは、「光をめぐる植物同士の戦い」がある訳で、現在枝豆はスベリビユと戦っている。そろそろ鞘が充分に成長してきた枝豆の充実のし具合を見て見ると、雑草のない化学肥料のほうが良く充実している。それだけよく光合成して(根粒菌で窒素固定して)、実を作っているのだな、と実感する。
「光をめぐる戦い」は、要は日光を少しでもたくさん受け取って、自分を成長させようという競争。びっしりはえるスベリビユに対し、多少高さで優位とはいえ枝豆には不利な戦いということになる。生態学で「光をめぐる戦い」は習うし、ギャップ遷移といって、森林で背の高い木が倒れると空いたすき間に色々な木が伸びようと競争するという事もあり、研究している人もいる。野外で調査でも実感したが、やっぱり食べるものとなると雰囲気も違って来る感じ。

　帰り道、スーパーで買い物。肉のコーナーに「和牛入り」の整形した肉を売っている。入っている割合は1％だそうだ。誇大広告じゃないか？遺伝子組み替え大豆は5％迄の混入なら表示しなくていい事になっているが、逆に1％で言うか？ちなみにこの肉、豪州産牛肉と油脂を混ぜたもの。表示を除いても見た目からに食欲が落ちる形と油の入り具合。どうやって1％混ぜているのか知りたいとは思う。

　夕食は妻と居酒屋で暑気払い。おつかれさま